ユーザーにとって使いやすいサイトとは?Web制作におけるユーザビリティの重要性

ユーザビリティとは何か?Web制作における重要性

ユーザビリティ(Usability)は、Webサイトやアプリケーションが「どれだけ使いやすいか」を示す言葉です。具体的には、ユーザーが迷わずに操作できるか、目的を達成できるか、そしてその過程でストレスを感じないかを評価する概念です。

1998年、Webの「神様」とも呼ばれるヤコブ・ニールセン氏は、ユーザビリティを次の5つの要素で定義しました。

  1. 学習しやすさ(Learnability)
    初めて利用するユーザーが、どれだけ簡単に操作方法を学習できるか。
  2. 効率性(Efficiency)
    一度操作を覚えたユーザーが、どれだけ効率的に目的を達成できるか。
  3. 記憶しやすさ(Memorability)
    しばらく利用しなかったユーザーが、再び利用する際にどれだけ操作方法を思い出しやすいか。
  4. エラー防止・回復(Errors)
    ユーザーがどれだけエラーを起こしにくいか、またエラーが発生した場合にどれだけ簡単に回復できるか。
  5. 満足度(Satisfaction)
    ユーザーがサービスを利用して、どれだけ満足できるか。

Web制作において、これらの要素を考慮することは極めて重要です。なぜなら、ユーザビリティが高いWebサイトは、ユーザーの離脱を防ぎ、滞在時間を延ばし、最終的にはコンバージョン率(商品の購入や問い合わせなど、目的とする行動の達成率)の向上につながるからです。

UI/UXとの違い

ユーザビリティは、Web制作の文脈でよく耳にするUI(User Interface)やUX(User Experience)と密接に関連していますが、それぞれ異なる概念です。

  • UI(ユーザーインターフェース)
    ユーザーがWebサイトやアプリとやり取りするための「見た目」や「操作部分」を指します。ボタンの配置、配色、フォントなどが含まれます。UIはユーザビリティを実現するための手段の一つです。
  • UX(ユーザーエクスペリエンス)
    ユーザーが製品やサービスを利用して得られる「すべての体験」を指します。サイトの使いやすさだけでなく、商品が届くまでのプロセス、アフターサービス、ブランドイメージなども含みます。ユーザビリティは、UXを構成する重要な要素の一つです。

家を例にすると、UIは「ドアノブや窓の形」、ユーザビリティは「ドアの開けやすさ」、UXは「その家に住んで得られる快適さ」と言えます。良いUXを提供するためには、まず良いユーザビリティを実現することが不可欠です。

ユーザビリティがもたらすメリット

ユーザビリティの向上は、単にユーザーが快適になるだけでなく、ビジネスに直接的なメリットをもたらします。

離脱率の低下と滞在時間の向上

操作が複雑だったり、情報が見つけにくかったりするサイトは、ユーザーをすぐに不快にさせ、離脱の原因になります。逆に、目的の情報に簡単にたどり着けるサイトは、ユーザーの興味を引きつけ、サイト内を回遊させやすくなります。その結果、離脱率が下がり、滞在時間が向上します。

コンバージョン率の向上

ECサイトであれば購入完了までのステップ、コーポレートサイトであれば問い合わせフォームの入力、メディアサイトであれば記事の読了など、Webサイトには必ず「ゴール」があります。ユーザビリティが高いサイトは、ユーザーが迷うことなくゴールにたどり着けるため、コンバージョン率が向上します。入力フォームがシンプルで分かりやすかったり、購入ボタンが目立つ位置にあったりすることは、小さな改善に見えて大きな成果につながります。

顧客満足度とブランドイメージの向上

「使いやすい」と感じることは、ユーザーの満足度を高めます。この満足度は、ブランドに対する信頼感や好感度につながり、リピーターの獲得やポジティブな口コミを生み出す原動力になります。逆に、使いにくいサイトは「この会社はユーザーのことを考えていない」というネガティブな印象を与え、ブランドイメージを損なう可能性があります。

運用の効率化

ユーザビリティが高いサイトは、ユーザーからの操作方法に関する問い合わせやクレームが減ります。これは、カスタマーサポートの負担を軽減し、運用コストの削減につながります。また、サイト改善のための分析もしやすくなります。

ユーザビリティ評価の具体的な方法

Webサイトのユーザビリティを客観的に評価するには、いくつかの方法があります。代表的なものを紹介します。

ユーザビリティテスト

ユーザビリティテストは、実際にユーザーにサイトを操作してもらい、その様子を観察・記録する手法です。

  • テストの進め方
    サイトのターゲット層に近いユーザー数名(5人程度が一般的)に、特定のタスク(例:「このサイトで〇〇という商品を探してください」)を実行してもらいます。テスト中は、声に出して考えを話してもらい(思考発話法)、どこで迷ったか、何に不満を感じたかを把握します。
  • メリットとデメリット
    ユーザーの生の行動や思考を直接観察できるため、具体的な問題点を見つけやすいのが大きなメリットです。一方、参加者の手配や場所の確保にコストと時間がかかるのがデメリットです。

ヒューリスティック評価

ヒューリスティック評価は、ユーザビリティの専門家が、事前に定められた評価基準(ヒューリスティックス)に基づいてサイトを評価する手法です。

  • 評価の基準
    ヤコブ・ニールセン氏が提唱した10個のヒューリスティックス(例:「システムの状況を可視化する」「ユーザーの自由度と制御を確保する」など)がよく用いられます。
  • メリットとデメリット
    専門家が評価するため、短期間で手軽に実施できます。また、専門的な視点から潜在的な問題を発見しやすいです。しかし、あくまで専門家の「予測」であり、実際のユーザーの行動とは異なる場合があります。

3. アクセス解析

Google Analyticsなどのアクセス解析ツールを利用して、サイトのデータを数値で分析します。

  • 分析する指標
    離脱率、コンバージョン率、ページ滞在時間、クリック率、ユーザーの利用環境(PC、スマートフォンなど)などを分析します。
  • メリットとデメリット
    実際のユーザーの行動を大規模なデータで把握できるため、信頼性が高いです。しかし、「なぜ」その行動が起きたのか(例:なぜこのページで多くの人が離脱するのか)までは分かりにくいため、他の評価方法と組み合わせて使うことが重要です。

4. ABテスト

ABテストは、Webサイトの一部分だけを変えた複数のパターンを用意し、どちらがより良い成果を出すかを比較する手法です。

  • テストの例
    ボタンの色、キャッチコピー、フォームの項目数など、特定の要素を変更したAパターンとBパターンを作成し、それぞれにユーザーを誘導します。
  • メリットとデメリット
    実際にどちらのパターンが効果的だったか、数値で明確に判断できます。しかし、テスト項目が多岐にわたる場合は時間がかかり、一度に多くの要素を変えると、何が改善につながったのかが分かりにくくなります。

ユーザビリティを向上させるための実践的な6つポイント

評価で洗い出した問題点を改善するために、以下の6つのポイントを参考にしてください。

1. シンプルで一貫性のあるデザイン

ユーザーは、初めて訪れたサイトでも、過去の経験から「こういうサイトはこうなっているはず」という期待を持っています。この期待を裏切らないことが重要です。

  • ナビゲーション
    どこに何があるか、常に分かりやすいようにグローバルナビゲーションを配置する。
  • 色とフォント
    重要なボタンやリンクは目立つ色にする。読みやすいフォントサイズと行間を設定する。
  • レイアウト
    ページ間で一貫したレイアウトを保ち、ユーザーに安心感を与える。

2. 情報を構造化する

ユーザーは情報を探す際に、まず全体像を把握しようとします。そのため、情報を分かりやすく整理し、階層化することが重要です。

  • 見出し(hタグ)の活用
    h1、h2、h3…と適切な見出しを使って、文章の構造を明確にする。
  • 箇条書きやリストの利用
    複雑な内容や複数の項目を、箇条書きでシンプルにまとめる。
  • パンくずリスト
    ユーザーがサイト内のどの階層にいるかを示し、迷子になるのを防ぐ。

3. フォームの最適化

問い合わせや購入など、フォームはコンバージョンに直結する重要な要素です。

  • 入力項目を最小限にする
    ユーザーの負担を減らすため、必須項目を絞り込む。
  • 入力のヒントを表示
    ユーザーが何を入力すればいいか迷わないよう、具体的な例や説明を添える。
  • エラーメッセージを分かりやすく
    エラーが発生した際に、どの項目に問題があるかを具体的に、かつ分かりやすい言葉で示す。

4. 表示速度の改善

ページの表示速度が遅いと、ユーザーは待てずに離脱してしまいます。GoogleもSEOの評価項目として、表示速度を重視しています。

  • 画像の最適化
    画像を圧縮したり、WebPなどの軽量な形式を使用したりする。
  • 不要なファイルの削除
    CSSやJavaScriptのファイルを整理し、不要なコードを削除する。
  • キャッシュの活用
    ブラウザキャッシュを利用して、再訪問時の表示を高速化する。

5. モバイルファーストの考え方

スマートフォンの普及により、多くのWebサイトへのアクセスはモバイル端末からとなっています。

  • レスポンシブデザイン
    画面サイズに応じてレイアウトが自動的に最適化されるレスポンシブデザインを採用する。
  • タップしやすいボタンサイズ
    小さすぎるボタンは誤タップの原因になるため、指でタップしやすいサイズにする。
  • 縦スクロールを基本とする
    横スクロールが必要なレイアウトは避ける。

6. ユーザーテストの継続的な実施

Webサイトは一度作って終わりではありません。常にユーザーの行動を観察し、改善を繰り返すことが大切です。

  • 定期的なテスト
    リニューアル後も、定期的にユーザーテストを実施し、新たな問題点を発見する。
  • フィードバックの収集
    ユーザーからの問い合わせやアンケートを通じて、直接的な意見を聞く。

まとめ:ユーザビリティはWebサイトの羅針盤

Web制作におけるユーザビリティは、単なる技術的な要素ではなく、ユーザーへの配慮そのものです。ユーザーが何を求めているのか、何に不満を感じるのかを深く理解し、そのニーズに応えることが、使いやすいサイトを作る第一歩です。

なぜあなたのWebサイトはユーザーに選ばれないのでしょうか? それは、デザインが古いためでしょうか?情報が少ないからでしょうか?それも一因かもしれません。しかし、多くの場合、ユーザーが目的を達成できずに「面倒くさい」と感じて離脱してしまうのが本当の理由です。

ユーザビリティの改善は、地道な作業のように思えるかもしれません。しかし、その小さな積み重ねが、ユーザーの満足度を高め、離脱を防ぎ、最終的にあなたのビジネスを成長させる大きな力となります。

今回の記事で紹介した評価方法や改善ポイントを参考に、ぜひあなたのWebサイトをユーザーにとっての「最高の体験」の場にしてください。

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