ヘッドレスCMS、結局何がいいの?microCMS・Strapi・Payloadで比較しながら考えてみた

ヘッドレスCMSというものを聞いたことがあるでしょうか?

ヘッドレスCMSへの移行はWordPressで長年運用してきたサイトのリニューアルや、アプリとWebで同じコンテンツを使い回したいという要望がきっかけになることが多い印象です。

この記事では、ヘッドレスCMSと従来型CMSの違いを整理したうえで、代表的な3つのサービス「microCMS」「Strapi」「Payload」を比較していきます。

ヘッドレスCMSってそもそも何?

CMSは本来、コンテンツを入力・管理する「バックエンド」と、それを表示する「フロントエンド」がセットになっています。WordPressのように両者が一体化したタイプは「カップルドCMS」「モノリシックCMS」と呼ばれます。(ヘッドレスCMSが生まれてから区別するために生まれた呼び名なので、あまり一般的ではない。)

ヘッドレスCMSは、この「表示部分(ヘッド)」を持ちません。バックエンドでコンテンツを管理し、APIを通じてWebサイト・スマホアプリ・デジタルサイネージなど好きなフロントエンドにデータを配信する仕組みです。フロントエンドの技術選定が完全に自由になるのが最大の特徴です。

なぜ今、ヘッドレスCMSが選ばれるのか

従来型CMSでは、フロントエンドとバックエンドが密結合しているため、どちらかを改修すると、もう一方への影響を考慮する必要がありました。テーマやプラグインの制約でデザインを妥協せざるを得ないケースも多々あります。

ヘッドレスCMSであれば、コンテンツはAPI経由で配信されるだけなので、フロントエンドは React でも Next.js でも Astro でも、開発者の好きな技術で組めます。同じコンテンツをWebサイトとアプリの両方に配信するといった使い方もしやすくなります。WordPressが今も全Webサイトの3割以上を支える最大手であることに変わりはありませんが、その一体型構造ゆえの制約が、乗り換えを検討する動機になっています。

3大ヘッドレスCMSを比較する

今回比較するのは、日本製の「microCMS」、老舗オープンソースの「Strapi」、Next.js特化の「Payload」の3つです。それぞれ設計思想がかなり違うので、順番に見ていきます。

microCMS:GUIで完結する日本製CMS

microCMSは日本製のAPIベースヘッドレスCMSです。最大の特徴は、コンテンツタイプの設計から公開設定まで、コードを書かずに管理画面から完結できる点。日本語の管理画面・サポートが標準なので、非エンジニアのコンテンツ担当者に触ってもらいやすいのも強みです。

料金プランはHobby(無料)、Team(4,900円〜/月)、Business(75,000円〜/月)、Enterprise(要見積もり)の4段階。Hobbyプランはクレジットカード登録不要で、API呼び出し数は無制限、メンバー3名・API5個までという制限です。MCPサーバーも用意されていて、AIエージェント経由でのコンテンツ投稿・更新にも対応しています。

Strapi:オープンソース最大手、コードでもGUIでも

Strapiはオープンソースのヘッドレスシステムとして最も知られた存在です。Node.js製で、コンテンツタイプは管理画面のGUIから定義することも、コードで定義することもできます。セルフホストであれば「Community」エディションが無料(MIT ライセンス)で、REST/GraphQL API・ロールベースアクセス制御など主要機能に制限はありません。

もう少し上位の機能(AI機能、ライブプレビュー、コンテンツ履歴など)が欲しい場合は「Growth」ライセンス(月45ドル〜、3シート込みで追加1シートごとに15ドル)が必要です。またホスティングを自前で用意したくない場合は、別料金の「Strapi Cloud」を使う形になり、こちらは有料プランが月18ドル〜からとなっています。ライセンス(CMS機能)とホスティング(Cloud)が別会計になっている点は、比較する際に混同しやすいので注意してください。

npx create-strapi-app@latest my-project

Payload:Next.js特化のコードファーストCMS

Payloadは管理画面までTypeScriptの設定ファイルだけで組み上げる、最もコード寄りのヘッドレスCMSです。フィールドやコレクションはすべてコードで定義し、GUIのスキーマビルダーは持っていません。その分、Gitでバージョン管理しながらスキーマを育てていく開発フローと相性が良く、Next.jsアプリの/appフォルダに直接組み込める設計になっています。

npx create-payload-app@latest

ここで一つ、比較記事としてかなり重要な最新事情があります。Payloadは2025年6月にFigmaの傘下に入りました。オープンソース・MITライセンスの方針そのものは変わっていませんが、新規サインアップ向けのPayload Cloud(マネージドホスティング)は停止しており、現時点でのホスティング手段は基本的にセルフホストのみという状態です。つまり「Payloadを使う=自分でNode.jsを動かせるインフラを用意する」がほぼ前提になっています。Enterprise向けのSSOや監査ログなどは、個別見積もりのサポート契約という形で提供されています。

料金・アーキテクチャの比較表

項目microCMSStrapiPayload
開発元・所在日本(株式会社microCMS)フランス発、オープンソース米国、2025年にFigma傘下
ライセンス独自SaaSオープンソース(MIT)+商用ライセンスオープンソース(MIT)
スキーマ定義管理画面のGUIで定義GUIまたはコードコード(TypeScript設定)のみ
セルフホスト不可(SaaS専用)可能(Community版は無料)可能(実質これが主な選択肢)
マネージドホスティングあり(SaaS本体)Strapi Cloud(月18ドル〜)新規停止中(既存客のみ継続)
無料プランHobby(無制限API呼び出し、メンバー3名)Community(セルフホスト、機能制限なし)セルフホストなら無料(MIT)
フロントエンド技術自由(Next.js、Astroなど)自由Next.js前提の設計
AI・エージェント連携MCPサーバー標準搭載MCPサーバーGA、Strapi AI機能MCPプラグインあり

どれを選べばいいのか

コードを書かずにコンテンツ担当者主導で運用したいなら、microCMSのGUI完結型が扱いやすいはずです。オープンソースで柔軟性を確保しつつ、必要に応じてGUIとコードを使い分けたいならStrapi。すでにNext.jsで開発していて、スキーマもコードで一元管理したい、かつ自前のインフラ運用に抵抗がないチームならPayloadが候補になります。

逆に言うと、Payloadは「マネージドホスティングに丸投げしたい」チームには今は選びにくい状況です。Figma傘下になったことで今後Figma Sites連携などの機能拡張は期待できますが、現時点でのホスティング事情は事前に確認しておく価値があります。

導入前に確認しておきたいこと

  • 料金体系の分解
    特にStrapiは「CMSライセンス」と「ホスティング」が別料金なので、見積もりを取るときは両方を分けて確認する
  • スキーマ変更のワークフロー
    Payloadやコードベースの構成では、スキーマ変更にデプロイが伴う。ダウンタイムが発生しうる点は運用フローに組み込んでおく
  • 既存WordPressサイトからの移行コスト
    3サービスともWordPressからのインポート手段は用意されているが、テーマ・プラグインの作り直しは避けられない
  • エコシステムの成熟度
    Strapiはプラグインマーケットプレイスがあり、他の2つより周辺エコシステムが厚い。microCMSは国内事例、Payloadは大企業導入事例が強み

まとめ

  • ヘッドレスCMSは、コンテンツ管理(バックエンド)と表示(フロントエンド)を分離し、APIでどこにでも配信できる仕組み
  • microCMSはGUI完結・日本語サポート、Strapiはオープンソース最大手でGUI/コード両対応、Payloadはコードファーストかつ最もNext.js寄り
  • Payloadは2025年のFigma買収以降、新規のマネージドホスティングが止まっている点に要注意
  • 料金比較はCMSライセンスとホスティングを分けて見る必要がある
  • 「誰が運用するか」「フロントエンドの技術スタック」「インフラを自前で持てるか」の3点で選定基準が大きく変わる